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嘔吐について

こんにちは。

木場駅・東陽町駅が最寄りの「木場パークサイド動物病院」です。

 

 

嘔吐について 

 

嘔吐とは

 

 

胃または十二指腸の内容物を口から積極的に排出するを嘔吐*1と言い、体にとって有害なものを吸収させない為の防御機構です。

自身の体を守る為に必要な防御機構ではありますが、頻繁に繰り返される場合や、長期間持続してしまうと、脱水状態や電解質異常、酸塩基平衡異常、誤嚥性肺炎、食道炎を引き起こしてしまう可能性があります。

 

 

嘔吐が生じるメカニズム

 

 

嘔吐は延髄にある嘔吐中枢の受容体に刺激が加わる事によって引き起こされる複雑な反射システムです(下記図参照)。消化管、大脳皮質、化学受容器引き金帯(CTZ)、前庭、弧束核から

嘔吐中枢へ刺激が伝えられ、その刺激経路は神経性と体液性の2つに分けられます。

 

 

 

 

犬も猫も嘔吐が生じるメカニズムは大体同じですが、3点ほど特徴的な違いがあります。

  1. 猫ではCTZにD2受容体が存在しない、または少ない

  2. 前庭からの嘔吐中枢への刺激:猫では直接的、犬ではCTZを介して間接的に刺激する

  3. 消化管からの嘔吐中枢への刺激:犬では直接的、猫ではCTZを介して間接的に刺激する

これらの違いから、一部の薬剤は犬と猫で効果が異なってきます。

 

 

嘔吐を認めた際の対応

 

 

嘔吐は健康な犬猫でも認められる事があります。例えば猫では毛玉と一緒に、犬では空腹時に一時的に吐いてしまう事があります。

これらは単発であれば病的ではない為、嘔吐を認めても必ずしも病院へ連れて行く必要はありません。ただし、次の場合は動物病院への受診が推奨されます。

 

 

  1. 嘔吐を頻繁に繰り返す

  2. 嘔吐に加えて食欲不振・活動性低下・下痢などの症状を伴う

  3. 嘔吐が長期間持続または間欠的に繰り返す(1-2週間程度)

 

 

上記1-3に合致する場合は先述した状態(脱水状態、誤嚥性肺炎、食道炎など)に陥る可能性がある為、動物病院を受診し適切な検査や治療を行う事が必要です。

 

 

症状の判断が難しい場合は動物病院へ連絡をとり、判断を仰いでください。

 

 

診断アプローチ

 

 

嘔吐は食事変更や誤食、膵炎などの様々な原因から引き起こされます。また、嘔吐と似た症状に吐出(※)というものがあります。

吐出は咽頭や食道内にある内容物を吐きだす事を指し、嘔吐と似た症状ですが、病態が異なり診断アプローチが変わってきます。その2つを鑑別する為には問診が非常に重要になり、その内容を元に診断アプローチを決定していきます。
(*吐出と嘔吐の詳細な違いに関しては別のコラムをご参照ください)

一般的な嘔吐に対する診断アプローチは下記の様になります。

 

 

  1. 問診:

    吐出との鑑別、食事変更、誤食の有無、臨床経過、一般状態の確認

    →経過、生活環境、旅行の有無、他の症状の有無などを確認します

  2. 身体検査:

    口腔内の観察(潰瘍や紐状異物(特に猫))

    腹部触診による異常所見の確認(圧痛や膨満、腫瘤性病変の有無)

    →リンパ節の腫れ、腹部臓器の大きさや形、体温などを確認します

  3. 便検査:

    寄生虫疾患の確認

    →正しい方法で検査をしないと検出出来ないこともあります

    仔犬や仔猫ではよく見られます

  4. 血液検査:

    各種臓器の確認(尿毒症、甲状腺機能亢進症など)

    →代謝性疾患と呼ばれるものを確認します

    血液の性状の変化で嘔吐を起こす病気はたくさんあります

  5. 腹部超音波検査:

    異物や腸重積、腫瘍性疾患などの確認

    →お腹の中の臓器の構造の変化を確認します

    胃腸の異常は血液検査では殆ど情報が出てきませんので画像の検査をしていきます

  6. 胸部X線検査:

    誤嚥性肺炎、肺腫瘤(猫では嘔吐の原因となりうる)の確認

    →一見関係なさそうな肺や気管などに診断のヒントがあることもあります

これらの結果に基づいた診断を行い、治療を開始していきます。

診断に至らなかった場合は内視鏡検査による消化管生検が必要になる事もあります。

 

 

治療

 

 

嘔吐に対する治療方針は、原疾患に対する治療対症療法が挙げられます。

▶︎ 原疾患に対する治療

 Ex), 異物による消化管閉塞→外科手術、猫回虫→駆虫薬の投与

▶︎ 対症療法

  1. 皮下点滴

  2. 制吐剤 マロピタント(NK1拮抗薬)、メトクロプラミド(D2拮抗薬)など

    →注意点としては、基礎疾患を隠し診断が遅れてしまう可能性があります。その為、制吐剤が必要となるケースでは、上記検査をどこまで行うかを慎重に判断していく必要があります。

  3. 絶食

    →12〜24時間程度の絶食が提案(明確な指針はなく状態に応じた対応が必要)

急性経過症例で症状が軽度であれば、対症療法による通院治療が提案され、多くは状態の改善が見込まれます。

ただし、重症と判断される場合は入院管理下での集中治療や精査が推奨されます。

基礎疾患に対する治療や上記対症療法を実施しても改善に乏しい場合は、病態の再評価に努める必要があります。

 

 

*1,Textbook of Veterinary Internal Medicine 8th Edition

 

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